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インシテミル

★★★★
米澤 穂信
価格
閉鎖空間の疑心暗鬼
 設定が少々強引だが、限定された条件で推理する楽しさを味わえる。心理実験めいた殺人ゲームだから、論理と謎解きが本作品のキモとなる。 中程まで読んで、はじめの、いわくありげな「モニターは…」の記述に戻...
あまなつShopあまなつで見る同じレイアウトで作成


求人誌の誤植としか思えないほど高給な怪しい実験モニターアルバイトに集まった12人。実験施設となる暗鬼館に一週間閉じ込められ、それぞれには別々の殺人器具が与えられる。

ある者はリーダーシップを発揮し、ある者はそれに媚びへつらう。ただただ怯える者、疑心暗鬼になる者、御託を並べてキレ者を演じる者など、いろんなタイプが入り乱れる。そしてそんな中に殺人を犯す者が現れて館内はパニックとなる。

いやコレすごい面白い。全く予備知識なしで読めたのが良かった。タイトルからも表紙からも全く想像できないストーリーだった。

何となく『es[エス]』や『バトル・ロワイアル』を思い出した。いや、全然違うんだけども。。。

(「MARC」データベースより)
車がほしかった結城理久彦。「滞って」いた須和名祥子。オカネが欲しいふたりは、高給の怪しげな実験モニターに応募した。こうして12人が集まり、館の地階に7日間、閉じ込められることに。究極の殺人ゲームが始まる…。


実験の舞台となる暗鬼館に集まったのは一見何のつながりもなさそうな12名の男女。主人公の結城理久彦もその中の一人だ。謎のお嬢様、須和名祥子や熱血リーダータイプの大迫雄大、何を考えているのか怪しげな安東吉也など、ひとくせもふたくせもある参加者達ばかり。

いよいよ不穏当かつ非論理的な実験の始まり。鍵のかからない部屋、それぞれに与えられた殺人器具、人を殺せば高額ボーナスが得られるという狂ったルール、、、彼らは猜疑心の塊と化す。

ちなみに主人公の結城に与えられた武器は「火かき棒」。武器と一緒にメモランダムと呼ばれる説明書がついているが、これがまた人を小馬鹿にしたようなふざけた内容だ。

<殴殺>
 人類が暴力をふるいはじめたとき、最初の武器は五体だったろう。
 おそらくその次が、棒だったに違いない。
 極めてプリテミティブ、洗練のかけらもない原始武器。それだけに、激情を発端とする殺人では、しばしば棒が登場する。
 その中でももっとも印象深いのは、なんといっても「火かき棒」だ。多くの、あるいは全ての部屋にマントルピースが備えられた洋館を舞台とすればこそ、火かき棒はつねにそこにあり、殺人者の手に握られ、多くの命を奪ってきた。
 そして、ミステリ史上もっとも有名な「火かき棒」は、おそらく『まだらの紐』に登場したものだろう。
 さて、この棒を手にしたあなたは、これを曲げ、そして戻すことができるだろうか?
 できなくても構わない。曲がっていなくても、その一撃が殴殺に足ることに違いはないのだから。


こんな感じのメモランダムがそれぞれの武器についていて、まぁ、ちょっと笑えたりもする。殴殺のほかにも毒殺、射殺、刺殺といった感じに殺害方法がみんなバラバラに設定されている。悪趣味だ。

さて、実験3日目の朝、とうとう最初の犠牲者が出る。参加者最年長でどことなくくたびれた印象の西野が霊安室で銃で撃たれて血まみれになって死んでいた。これまで何とか均衡を保ってきた参加者たちだったが、西野死亡によって疑心暗鬼な空気に包まれる。翌朝には超然ビジュアル系の真木が首を矢で刺されて死んでおり、後戻りできない状況に陥る。

ここまでの個人的な感想としては、安東が一番怪しいと思っていた。主人公結城はとりあえずシロ。大迫につきまとうコバンザメ釜瀬もまぁシロかと。大迫と箱島は本気で仕切ってるところから犯人とは思えない。そんな中、微妙なのは安東。何を考えてるのか分からないところがある。女性陣は全く判別不能。若菜もヒステリックに怯えているが演技の可能性も否定できない。須和名に至っては世間とかけ離れすぎて理解不能だし。。。

そんなこんなで大迫、箱島が何とか次の惨劇を起こさないようにと、3人1組行動、各自所有の武器チェック、夜間巡回などを提案するが、5日目朝方にその大迫と箱島も殺されてしまう。今度は霊安室の吊り天井の餌食になっていた。若菜は恋人大迫を殺したのが釜瀬だと思い込み、鎌瀬を空気ピストルで殺して自殺する。自殺直前の若菜の言葉『もういや。こんなの。最悪』が印象的だった。

その後なぜか結城が名探偵に豹変し、逆にキレ者っぽかった安東はアホすぎることが露呈する。この辺の豹変ぶりがちょっと不自然でもったいない気がした。で、名探偵になった結城が最初の殺人、岩井殺害の犯人を推理する。岩井は銃で撃たれていたので空気ピストル所有者の若菜が犯人かと思いきや、結城によればそうではないと。岩井は何発も銃で撃たれていたが、若菜所有の空気ピストルでは連射ができないからだ。また、他者に比べて明らかに殺傷能力の高い連射可能な銃を持っている参加者はいないはずだと。うーん、、、確かに。。。でもこれは難しい。まさかガードの警告無視を利用した自殺だったとは。。。

ここから先ははっきり言って予想外の連続。女性陣の中でこいつはシロだろうと思っていた関水がまさかの真っ黒。それにしても10億円が必要な状況ってどんなだよ。しかも9億5000万円ではダメで10億円が絶対必要って。。。10億円って言ったら、まだ10代の少女にとっては借金ってレベルじゃないし、医療費にしても高すぎる。他には思いつかん。。。

作品最後に生存者6人のそれぞれの報酬が明らかになるが、岩井の金額がおかしい。これは真木殺害犯が実は岩井ではないことを示唆しているっぽい。もしそうなら岩井を真木殺害犯として<解決>した大迫にペナルティがあるはずだが、死亡者の報酬は不明なので確かめられない。うーん、でも岩井も自分で真木殺害を認めてたのになぁ。。。よく分からん。

そして最後の驚きは謎のお嬢様須和名の参加理由。まさか滞っていた指一本ってのがお金ではなく”1人”だったとは。。。うーん、納得。結城にはぜひ須和名プロデュースの実験に参加してもらいたい。

テーマ : 読書感想文 - ジャンル : 小説・文学

コメント

岩井の金額(以下ネタばれ)

岩井が犯人だからこそ倍額ボーナスが付いてあの金額かと。
"犯人"にとって実際殺したかどうかは金額に関係ないルールでは? "探偵"にとっては指摘が正しいかどうかで金額が大きく変わりますが。
.
考えてみると犯人のペナルティは以降時給が下がるだけで、探偵のペナルティと比べて、やけに軽いですね。
終盤になればなるほど犯人の期待値は上がるシステムですね。

No title

あぁ、なるほど、、、そうですね。犯人倍額ボーナスがついてるのか。
確かに終盤に殺害しまくるのが一番なのかもしれないですね。

ちょっともう一回読み直してみようかな。。。

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プロフィール

Author:ザッキー
映画とか結構いろいろ見るんですが、とにかくものすごい勢いで忘れます。。。
日記は続いたことがないんだけど、とりあえず自分の健忘症のためにもガムバッてみようかと。。。
つーか、ガムバりすぎてネタバレしまくってます。すみません。。。

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