zakky's report
忘れっぽい自分のために。。。 映画や本などの備忘録です。 感想というよりも備忘録がメインなので、かなり長いし、ネタバレしまくりです。。。すみません。
独白するユニバーサル横メルカトル
ついに読んだ。。。グロさ見たさに読んだんだけど、うーん、噂どおりのグロさ。最初の方はそんなでもないかなぁ、なんて思ったけど読み進むとやっぱり凄かった。全部で8本の作品からなる短編集だけど、先に進むほどグロさ倍増という感じ。
(「MARC」データベースより)
凝視せよ。ここにあるのは宝石だ。生理的嫌悪と、終わることのない暴力の果てに、名状しがたい感動が待っている、異形の物語たち。日本推理作家協会賞を受賞した表題作を含め8編を収録した短編集。
一番最後の『怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男』はグロさも怖さも最高。『卵男(エッグマン)』『すまじき熱帯』もスゴイと思ったが、この『怪物のような〜』は別格だった。
普通、拷問っていうと秘密を吐かせるとか何かそういう目的があると思うんだけど、この話で出てくるのは殺すための拷問。残酷すぎる。。。(泣) ここまでやっても人間って死なんのか?と疑問に思ったほど。描写も細かくてリアルなので想像しながら読むのはかなりキツイ。意識して想像しないように読んだ部分もかなりある。
グロさ以外の面白さも一応あった。一番楽しめたのは本のタイトルにもなっている『独白するユニバーサル横メルカトル』。執事調に独白する地図がたまらない。どこか憎めないキャラだ。犯罪に加担しているのは間違いないんだが、それでも憎めない。いや本当にヒドイ話なんだけど。。。
それから絶望系としては『無垢の祈り』。これは絶望的に恵まれない環境の少女の話なんだけど、何とも言えないほどの劣悪環境。乙一作品「ZOO」の『カザリとヨーコ』と似たような絶望感なんだけど、もっとエグい感じ。
あとオチが良かったのは『オペランドの肖像』と『卵男(エッグマン)』。この2本は似たようなオチなんだけど、なんかこういうのは好きかも。ただ、難解な部分もたまにあって、オチとして理解しにくい感じがしないでもないんだけど。。。
まぁ、こんな感じでグロさ以外に楽しみがないわけではないけど、こっち系の話は自分には乙一作品で十分かなぁ、と思った。
重力ピエロ
ラッシュライフ
(「BOOK」データベースより)
兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは―。溢れくる未知の感動、小説の奇跡が今ここに。
本作品のテーマは「家族の絆」といったところでしょうか。血縁よりも遺伝子よりも強い絆があるってこと。なかなかに「最強の家族」だった。
主人公の泉水とその弟の春。どちらも英語に訳すとspringとなる。泉水は遺伝子解析会社の営業社員。そして春は兄を慕う出来のいい弟。最強の兄弟だ。さらに父も能ある鷹が爪を隠すかのようにその能力をひけらかさず、母も他界しているものの元モデルの美女。全員が規格外の突出した何かを持ちつつ、強い絆で結ばれた最強の家族。だが、春は母親がレイプされて身篭った子どもという暗い過去が。。。
物語は連続放火事件とそれを予見するようなグラフィティアートを中心に進んでいく。途中でいくつもの伏線が張られるがそのどれも無駄な伏線ではなく、最後には見事に収束していく感じはラッシュライフ同様。この辺はエンジニア出身作家の本能かな。
ただ、ミステリー要素はイマイチ。グラフィティアートと連続放火の関係は非常によくできていたが、肝心の犯人はかなり前の方で予想がついてしまう。もう少し引っ張って欲しかった。最後の大どんでん返しを期待したが特にそういうのもなかった。
それから伊坂作品独特の理系っぷり。今回はDNAネタ。興味の無い人には逆にツライのかもしれないが。。。個人的には結構楽しめた。
詳細な仕組みとかはよく分からないが、DNAを構成する塩基にはA、T、G、Cの4種類がある。また、DNAは二重らせん状になっていて、それぞれの塩基同士がくっついている。その対となる組み合わせはAとT、GとCのみと決まってるらしい。従って片方のらせんの内容が分かれば、もう片方も分かるらしい。
また、細胞の寿命に関連するテロメアというTTAGGGの繰り返し部分があり、細胞分裂をする度にテロメアが1つずつ減っていき、テロメアが尽きれば細胞の寿命となる。しかし、癌細胞にはテロメアの影響がなく、そのため癌細胞はどんどん増殖してしまうとのこと。
それと塩基3つの組み合わせで作られるタンパク質の種類が決まり、その組み合わせをコドンというらしい。他にも細胞の自殺とかいろいろあったがかなり忘れてしまった。。。それに事件とは関係ないがフェルマーの最終定理まで登場したのは単純に嬉しかった。
ま、こういうのは専門書を読めばもっと詳しく知ることが出来るんだが、小説を楽しみながらも、さらっと理系ネタに触れられるところにも伊坂作品の魅力を感じてしまう。
ソウ3
うわぁ。。。キツい。。。特に前半のグロさは目に痛い。。。これはヒドイ。。。シリーズ1作目、2作目ともチェック済みだけど、シリーズ史上最大のグロさ。つーか、個人的には過去に見た映画の中で一番グロいんじゃないかな。久々に観たことを後悔した。
(「Oricon」データベースより)
前2作を遥かに凌ぐシリーズ最大ヒットを飛ばした史上最強のソリッド・シチュエーション・スリラー!目覚めると、そこは食肉工場の地下室。扉を開けると、そこには愛する息子の命を奪った加害者たちが。犯人たちへの復讐に生きていた男が、実際に彼らの命を自らの手に握ったとき、果たしてどのような行動に出るのか…。新聞やネットで報道されていた“レイティング問題”により上映を禁じられた、オリジナル・バージョンを収録!!
折角のストーリーやトリックを映像で台無しにしちゃってる感じ。このテの映像を直視できるなら少しは楽しめるかも。
それにしてもジグソウ。。。自分も重病で命がヤバいってのに余計なお世話を焼きすぎ(笑) 命を粗末にしてる人に命を賭けたゲームに参加させることで命の大切さを理解してもらおうという企画らしいが、常軌を逸脱しすぎなんだな。
それでもジグソウは何かしらの思想に則っているのに対し、助手のアマンダは全くそういうのが無かったと。で、それが引き金となって最後はみんな破滅してしまう。
あと、ジェフは優柔不断というか時間が無いときに悩みすぎ。彼の決断が早ければ何人か助かったような気がしないでもない。
そんなこんなで観終わったときにやるせなさだけが残る映画だった。
・ソウ3@映画生活
イルマーレ
猟奇的な彼女
時空ネタ好きでサンドラ・ブロック好き、そして、スピード (Blu-ray Disc)
(「Oricon」データベースより)
2001年に韓国で製作された同名映画のリメイク版。引越しをするため次の住人に手紙を書いたケイト。それは何故か2年前の住人アレックスの元に届いた。魔法のような奇跡により2年の時を隔てて出会った二人。いつしか恋心が芽生え、“会いたい”その思いが強くなり、二人は時空を越える決意をした…。キアヌ・リーブス、サンドラ・ブロックほか出演で贈るファンタジー・ラブストーリー。
湖畔の古い家にあるポストを通じて、2年の時を隔てた男女が手紙のやり取りをするというストーリー展開。初めは面白いと思ったんだが、シーンが切り替わる度に年代が変わっててその区別がなかなかつきにくいもんだから、なんか頭が異様に疲れてくる。しかも時空ネタには不可欠の辻褄合わせも適当になってて、最後はもう完全に破綻していた。。。
まぁ、この映画は時空ネタよりもラブストーリーがメインなのでその辺を突っついても仕方ないとは思う。逆にラブストーリーものとして考えれば、ヒロインの心の中が捉えがたい点は恋敵モーガンが半分ストーカーチックなところが良かった。明日と二年後の待ち合わせというのもグッと来たし。
あとはサンドラ・ブロックがなぁ。。。別にこの映画に対する話ではないけど、個人的には彼女のドタバタコメディぶりの大ファンなので、その手の映画に出てほしい。最近少ない気がするので。
・イルマーレ@映画生活
甲虫王者ムシキング スーパーバトルムービー 〜闇の改造甲虫〜/オシャレ魔女 ラブ and ベリー しあわせのまほう
息子の付き合いで公開2日目に劇場で観ました。
まずは守備範囲のムシキングからスタートしましたが普通に面白いです。よく出来てます。ひねりも何もないけど、幼稚園から小学校低学年向けと考えればこれくらい素直なつくりがいいんではないかと。
ムシキングの気は優しくて力持ちっぷり、スジブトのお調子者だけどやるときゃやるところ、そしてリッキーブルーの男気、どれも小さな男の子には新鮮なのかも。
もう少し人間が森を汚してるだとか社会派ネタに走るかと思ってたけど、そういうヒネリはなくて良かったと思います。
そして、守備範囲外のラブベリに突入。なんかいきなり「私たちが歌ったり踊ったら、みんなも一緒に歌って踊ってね!」みたいなこと言い出してビックリ!さすがに踊った子はいませんでしたが、まぁ子どもの映画なので、少しぐらいガヤガヤしてるのはアリかなと。
ストーリーも悪くなかったです。仲良し女の子二人組みが途中で意見を衝突させ喧嘩しながらも一つのことを成し遂げる、サクセスストーリー。
歌と踊りのシーンはゲーム調に3DCGになったけど、完成度がすごかった。エンジニアとしてはそっちにも興味がひかれた。まぁ、キーとなった「はんなり小町」の衣装がお洒落なのかどうかは自分には分からなかったが。。。
あ、主人公の片方の女の子が「遅刻しちゃう〜」とかって叫びながら食パンくわえてダッシュしてるところで、カッコイイ男の子とぶつかって頬を赤らめるシーンには参りました。。。ここが一番の見所かも。(笑)
・甲虫王者ムシキング スーパーバトルムービー/オシャレ魔女 ラブ and ベリー しあわせのまほう@映画生活
TUGUMI
美丘
(「BOOK」データベースより)
病弱で生意気な美少女つぐみ。彼女と育った海辺の小さな町へ帰省した夏、まだ淡い夜のはじまりに、つぐみと私は、ふるさとの最後のひと夏をともにする少年に出会った―。少女から大人へと移りゆく季節の、二度とかえらないきらめきを描く、切なく透明な物語。第2回山本周五郎賞受賞。
病弱でワガママし放題の美少女つぐみ。彼女と過ごした港町でのひと夏を主人公のまりあが振り返る。つぐみが病弱で気性が激しいとか、反対にまりあは穏やかで冷静だとか、そういった登場人物の設定はこの作品の肝ではなく、一番の肝は情景的な部分ではないかと思う。
この作品には何とも言いようのない懐かしい夏の情景が描かれている。それは読み手それぞれが持っている夏の記憶と相まってより儚く美しい情景へと映し出される。祭りやちょっとした事件など、読み手それぞれにも似たような思い出はあるだろうから、それらとうまくシンクロして、その世界に入り込んだ気分にさせられる。
で、18年前はどう思ったのか。。。つぐみの性格しか記憶に残っていなかったことを考えると今とはまるで違う感想を持ったんじゃないかと思う。その頃は高校生になったばかりでまだ夏の思い出といったら部活くらいしかなかったし、それよりも今までに出会ったことのない異性のタイプが描かれていたことで、そちらの方に衝撃を受けたんだろう。それはそれで若かったってことか。。。
というわけで、読み手それぞれの夏の記憶を美しく甦らせてくれる作品。春先から初夏にかけて読むのがオススメかと。
重大事件に学ぶ「危機管理」
危機管理の第一人者、というか「危機管理」という言葉自体の生みの親でもある佐々淳行氏の危機管理ノウハウ本。といっても危機管理だけでなくビジネスマンとして、そしてリーダーとして使える小ネタが分かりやすく書かれている。
著者の佐々淳行氏について簡単に書いておくと、警察庁の官僚出身で黙ってれば警察庁長官にもなれたらしいが、持ち前の”乱世の雄”気質のために警察庁にはいられなくなり、最後は初代内閣安全保障室長に流れ着き、ここで退官。ちなみに警察庁から防衛庁に不本意ながら出向させられる顛末について書いてあった。何とも呆れる内容だったが。。。で、警察庁時代には、「東大安田講堂事件」「連合赤軍浅間山荘事件」等の警備幕僚長も務めており、映画「突入せよ!「あさま山荘」事件
(「BOOK」データベースより)
東大安田講堂事件、あさま山荘事件、大島三原山噴火など、数々の難事件や災害に対処してきた「危機管理」のエキスパートが、近年の政治や企業のトラブルに触れつつ語った「危機」対策の戦略戦術マニュアル。阪神・淡路大震災、9・11米中枢同時多発テロ、地下鉄サリン事件など、豊富な事例をもとに、問題対応の鉄則を説く。
ノウハウやハウツー以外の業界エピソードだけでも読んでよかったと思えた。イラクの奥参事官”殉職”、ミグ25亡命事件の消極的権限争議、日銀リュックサック部隊、新大久保電車事故でのある医師の勇気ある行動などなど、とにかく内容盛りだくさん。それから凡人軍人変人の凡人、故小渕恵三元総理のスーパー凡人ぶりのエピソードもなかなか面白かった。
肝心の危機管理については公助・互助・自助に分けて考えている。そして阪神・淡路大震災での”官災”などを考えると、日本ではもはや公助はアテにならないので互助・自助が重要とし、その互助・自助の強化こそが農耕民族の日本に根付く最適な危機管理だとしている。
それからこの本の根底にあるのは”オレがやらずに誰がやる”の精神で、それを具現化したのが下記の後藤田五訓といったところだと思われる。
五訓の一「省益を忘れ、国益を想え」
五訓の二「悪い本当の事実を報告せよ」
五訓の三「勇気を以て意見具申せよ」
五訓の四「自分の仕事でないと言う勿(なか)れ」
五訓の五「決定が下ったら従い、命令は実行せよ」
うーん、確かにこれはスゴイ。これは著者も書いているが、課せられた部下も大変だが、課した上司もかなり大変、まさに両刃の剣。けど、これを実現できる上司部下の関係が築ければ、仕事の成果はすごいものになりそうだ。
個人的には、五訓の二の悪い報告でのテクニック、稚速報告(ラフ・アンド・レディ)が参考になった。一見、単なる臆病モノの責任逃れ技のようにも見えなくもないが、著者のようにきちんと責任を負いながら実行すれば確かに有用だと思う。
それから、最後の方に出てきた苦しい状況に追い込まれたときの3つの呪文も良かった。
1.人間の始めたことは必ず終わる
2.日はまた昇る
3.人の噂は75日ももたない
とくに1に共感。仕事上のプロジェクトで火がついたりすると、もう先が全く見えなくて、このまま終わらないのでは?という錯覚に陥りがちになる。でも、どんな苦境も必ず終わりがあるはずなんだと思えば、何とかがんばれる。これを部下にさりげなく示せれば、かっこいいリーダーになれそうだ。
この他にもタメになる話がまだまだあって、阪神・淡路大震災とノースリッジ大地震の日米政府の対処の違いとか、米国のエレベーター・ブリーフィング→スリー・ミニッツ・リポート→フィフティーン・ミニッツ・デシジョンについて、それから人類の歴史が文字になってからの3400年ちょっとで戦争がなかったのはたったの286年という話など、とにかく内容盛りだくさんの一冊だった。
夢駆ける馬ドリーマー
素直に結構感動した。競走馬としては致命的な怪我を負ったサラブレッドを通し、崩壊しかけていた牧場ファミリーが1つにまとまっていくベタ家族愛ストーリー。DVD映像特典にも収録されているマライアズストームという実在の競走馬がモデルとなっているみたいだ。
(「Oricon」データベースより)
名優ダコタ・ファニング主演で贈る、傷ついた馬と少女の絆が奇跡を起こす実話にもとづく愛と勇気と感動の物語。レースで瀕死の重傷を負った名馬、ソーニャドールを引き取ったベンとケール父娘。誰もが再起は絶望的だと考えるが、ケールのひたむきな愛情で、ソーニャドールは復活の兆しを見せ、ばらばらになりかけた家族の心も一つにしていく…。クライマックスの手に汗握るレースシーンは必見!
馬を見る目はあるが世渡り下手で貧乏調教師ベン・クレーン(カート・ラッセル)とその娘ケール(ダコタ・ファニング)。ちょっとしたいざこざをきっかけに嫌味なオーナー、パーマー(デヴィッド・モース)から故障馬を買い取ることになる。この馬ソーニャドールは素質は十分だったのにパーマーがベンの忠告を無視して出走させたため前脚管骨を骨折してしまう。かわいそう。。。
あ、この嫌味なオーナー役のデヴィッド・モースなんだけど、彼は16ブロック
ベンがソーニャドールを引き取った最大の理由は、その素質を買って、繁殖牝馬としての活用を考えたからだった。ところが検査の結果ソーニャドールは不妊、その目論見はあっさり崩れ去る。
そしてとうとう貧乏牧場では面倒を見切れなくなり、売却することを決意するが、ケールがソーニャドールに跨って走らせたことをきっかけに、実はこの馬自身がまだまだ競走馬としてのポテンシャルを隠し持っているのでは?ってことになってくる。とはいっても故障明けの馬なので、そうそう勝てるレースなんてあるはずがない。それなのにあろうことか北米最大、世界屈指のビッグレース、ブリーダーズカップを目標レースとしてしまう。
しかもこのレース、なんかよく分からんが出走するだけで12万ドルもかかるらしい。貧乏牧場にはまず無理なお話ってことで半ば諦めかけてたが、他出走馬とのライバル関係をうまく利用してスポンサーとなる中東系の王子を見つけ出す。
最後はお決まりのベタストーリーとして仕上がっているが、見ていて爽快な気分にさせられた。ただ、この邦題はもうちょっと考えてほしかったな。ちなみに原題は「Dreamer」。このままで良かったのでは???
ダコタ・ファニング、久々に見たが相変わらずキュート。このままの勢いで大人の女優になれればスゴイ。そういえば、彼女が誘拐とか拉致とかされない映画は初めて観た気がする。
・夢駆ける馬ドリーマー@映画生活
バックダンサーズ!
期待とは違う方向に良かった。涙あり、笑いあり、勇気付けられるところあり、といいとこ取りというか幕の内的な映画だった。これでダンスシーンが期待通りの出来なら文句なかったかな。
(「Oricon」データベースより)
レコード会社の事情で突然の引退を余儀なくされた4人のバックダンサーがレコード会社を見返すために成長していく姿を描いた青春サクセスストーリー。出演は平山あや、hiro、ソニン、サエコほか。
ダンスがしたかっただけでクラブに出入りしていたが、それがきっかけで高校中退の憂き目に合うミウ(平山あや)とヨシカ(hiro)。行き場がなくなった二人が向かったのはストリートダンス。そこで運よくスカウトをされたものの、それはバックダンサーとしてだった。
スカウト会社の打ち合わせで元キャバ嬢のトモエ(ソニン)とアイドル志望のアイコ(サエコ)を紹介され、メインボーカル、ジュリのバックダンサーとして4人組ユニットを組むことに。バックダンサーだから「バックダンサーズ」というベタなネーミングからも、スカウト会社に全く期待されてないことが伺えた。
ジュリのバックダンサーとしてでも徐々に人気が出てきたと思ったら、なんとジュリが突然の引退宣言。バックダンサーズも解散の危機に。そしてスカウト会社はその解散調整という誰もやりたがらない仕事を若手の茶野(田中圭)に押し付ける。この田中圭だが、何となく猟奇的な彼女
何の根拠もなくダンスを続けられると信じていた4人に無情にも解散の連絡が。。。それをきっかけにトモエとアイコの大喧嘩が始まり内部崩壊。4人の気持ちがバラバラのまま、それぞれの思う道へ。ところがそれぞれがやはりダンスを諦めきれない、このままでは悔しいという気持ちから再起に向けて動き出す。それを知った茶野が最高の舞台を用意しようと逆襲劇を開始する。
この他にも売れないバンドのボーカルで実は伝説のミュージシャンのジョージ(陣内孝則)やスカウト会社で茶野に協力してくれる美浜(木村佳乃)なんかが結構いい味出してて、見ていて飽きなかった。逆襲劇が始まってからは本当に痛快。
ただ、ここまで盛り上げたのに最後のダンスステージがイマイチでした。。。もったいない。ダンス・レボリューション
・バックダンサーズ!@映画生活
いちご同盟
美丘を読んだばかりだったので、ヒロイン難病モノというところに目がついて読んでみた。が、なんとも捉えようのないストーリー。。。15歳の少年が自分の将来とか愛、友情そして命なんかを真剣に考え、悩みながらも生きていく、そんな儚く拙く危ういストーリーといったところでしょうか。自分にも確かに主人公と同じ年代の頃があり、いろいろ悩んだりしたと思う。そしてその頃にこの小説と出会っていれば、もっと違う受け止め方ができ、すごく感銘した部分もあったと思う。でも、今の自分には少し弱すぎる気がした。内容が内容なだけに弱く感じてしまうのは、自分には合っていないということなんだろう。
(「BOOK」データベースより)
中学三年生の良一は、同級生の野球部のエース・徹也を通じて、重症の腫瘍で入院中の少女・直美を知る。徹也は対抗試合に全力を尽くして直美を力づけ、良一もよい話し相手になって彼女を慰める。ある日、直美が突然良一に言った。「あたしと、心中しない?」ガラス細工のように繊細な少年の日の恋愛と友情、生と死をリリカルに描いた長篇。
まず、主人公良一がなぜ命や自殺に固執していたのかが分からない。思春期だからといってそんな簡単に死を意識するものなんだろうか。自分が能天気だっただけなのか?うーん、何ともいえない。。。あの頃、こういう悩みを持った同級生がいたのかもしれないが、自分は単純に学校生活を楽しんでいた方だったので、こういうのに気づかなかった。やっぱりあの頃にこの本に出会ってればと後悔。といっても当時はまだこの本が出てなかったんですが。。。つーか、それ以前にあの頃、本なんて読んでなかった。(汗)
それから、直美が良一に惹かれていった心の変化などが分からないまま、何となくそういう方向にストーリーが進んでいったのが違和感があった。物語は終始、良一の視点でのみ進んでいるので、その辺が分からないのは即ち良一も分かっていないからなんだろう。できれば徹也視点も織り交ぜて、徹也と直美の会話も入れてほしかった。少なくとも徹也の方が直美の心境の変化に敏感だったはずなので。
あと、良一の両親とか直美の父親とかは今の自分より少し上の年代なんだけど、これも何か違和感がある。こんな考えの人っているのかなぁ、と。中学生くらいの少年少女に大人はみんなこんな感じだと思われるのも嫌な気がする。あんまり書くと自分のマイノリティぶりを暴露してるだけな気がするが。。。
唯一、同調できたのは徹也くらいかな。設定が将来はプロも視野に入れられるほどの野球少年ってことで、これもまた少し特別な存在なんだけど、中身は15歳の少年そのまま。ただ単に自分の15歳の頃と一番感覚が近いってだけなんだけど。。。
まぁ、自分には少し物足りない内容だったが、最近は中学生の自殺問題とかが表面化しているので、こういった本を読んで少し命に敏感になって欲しいと思う。
ホテル・ルワンダ
いろいろ考えさせられる映画。ストレートにズバッと来る内容ではなく、ゆっくりグググッと押しつぶされる感じの内容。実話に基づく映画なのに、その中の出来事が事実としてうまく飲み込めない自分に腹立たしくもなった。
(「Oricon」データベースより)
愛する家族を守りたいという想いをきっかけに、1200人もの命を救った一人の男の実話を映画化した感動のヒューマン・ドラマ。1994年、長年続いていた内戦が終結し、ようやく平和が訪れようとしていたルワンダ。しかしある夜、大統領が何者かによって暗殺され、大統領派は対立勢力による犯行として、報復の大虐殺が始まる…。特典ディスク付きのプレミアム・エディション。
舞台は1994年のルワンダ紛争(フツ族過激派民兵によるツチ族の大量虐殺)で、主人公ポール・ルセサバギナはルワンダの高級ホテル「ミル・コリン・ホテル」の支配人。実在の人。本人はフツ族だが、妻はツチ族ということで、フツ族過激派の民兵から狙われてしまう。
ホテルまで押し寄せる民兵だったが、これまでホテル支配人として培ってきた要人との人脈や巧みな話術で数々のピンチを切り抜ける。頼みの綱の国連平和維持軍は発砲が許可されておらず介入もできない。それでも国連って名前だけで相手も怯むかと思いきや、民兵なんて正規軍でもなんでもないからそんなのお構いなし。実際、オランダ兵が何名か殺害されている。
それでも国連の介入軍が来てくれてた。当然自分達は助けてもらえるはずだ、という思いがあったが、なんとそれは外国人の救出のための派兵でルワンダ国内への介入は認められていなかった。国連維持軍の大佐が自嘲気味にその理由を説明した時、”ニガー”ですらないアフリカ人という差別、今まで知っていた黒人差別とは次元の違う大きな差別の存在を知った。
申し訳なさそうにしながらも残される人たちを尻目に喜んで帰国する西側諸国の旅行者たち、そんな中でジャーナリストが己の無力さを恥じながら帰国したのが印象的だった。彼なら帰国後、ルワンダ救済のために動いてくれたんじゃないかと思う。描かれてなかったけど。
いよいよ西側諸国からも救済の価値無しと見捨てられ、ポールは決死の覚悟で難民たちを匿うことを決意。結果的に1268人もの難民の救出に成功するが、武器も持たずに自制の効かない民兵を相手にすることは自殺行為に近いはず。それでも持ち前の頭脳を駆使して一人残らず全員を救った。
残念なのは大量虐殺に至る経緯や背景などが分かりにくかったこと。フツ族とツチ族の単純な対立として描かれていたが、実際にはそんな単純な構図ではないはず。映画でもうっすら描かれていたが、フツ族が支配層と貧困層に分かれていること、支配層が貧困層を支配するためにツチ族への怒りを利用していたこと、ルワンダをフランス語圏にするためにフランスがフツ族支配層を支援していること、といった事実が分かりにくかった。
そういう残念な面も確かにあったが、戦争の理不尽さや緊張感、そして世界規模でのアフリカ差別がよく描かれていて、何よりも実話に基づいたストーリーということで本当に素晴らしい映画だったと思う。
・ホテル・ルワンダ@映画生活
風に吹かれて豆腐屋ジョニー―実録男前豆腐店ストーリー
「風に吹かれて豆腐屋ジョニー」で有名な男前豆腐店の商品開発秘話が盛りだくさんの本。発想がかなり異端なので、普通のマーケティング本として読むとハズレ感が強いかも。でも、そういった異端の根底には基本中の基本があることが分かり、深い意味で非常に参考になる。この著者だからこそ、このやり方が成功したのであって、違う人がやっても多分成功しないんじゃないかと思う。表面上だけ真似しても絶対ダメなはず。
(「MARC」データベースより)
「風に吹かれて豆腐屋ジョニー」や「男前豆腐」は、通常の3倍は手間をかけて作ってます、押忍! 斜陽の豆腐業界に突如、起こった大異変。大ヒット商品の舞台裏を綴る。巻末に「ここでしか読めない」極秘資料を満載。
「風に吹かれて豆腐屋ジョニー」や「男前豆腐」など、今まで思いつき商品がたまたま当たったのが始まりかと思っていたが、そうでないことがよく分かる。根底には「安い豆腐に未来はない」というビジョンと「お金を余計に取る分絶対に裏切らない」という開発精神がある。開発途上ではいろいろな壁があったと思うが、このスタンスを貫いた結果が今なのだと思った。
著者の発想は、当たり前のヒット商品よりも異例のヒット商品を目指している。ど真ん中ストレートは絶対に狙わず、外したところでのビッグアーチを狙っている。また、商品企画は商品単品での企画でなく、その商品も含めた世界観全体の企画を大事にしている。だから最近、似たような豆腐が出始めたが、表面上の模倣だけでは負けないんだろう。著者もそういう自信があるからこそ、こんな本を出したんだろう。
ただ、こういう人が社内にいることのマイナス要素もかなりあるんじゃないかと思う。常に豆腐について考えて研究し、必要なら面倒な作業もこなして妥協は許さない。それでいて突拍子のないことを本気で言い出す。こんな人が社内にいると保守派はもちろん、そこそこレベルの革新派ですら引いてしまう。なので、社内の空気は悪くなりそうな気がする。実際、大ヒット商品”ジョニー”は周囲の賛同を得られず、最後は仲間が1人になってしまったとのこと。
なお、同社の転機は「男前豆腐」を「金持ちA様×貧乏B様」で取り上げられたところ。ここから知名度がグンと伸びたようだ。なので運も味方したところはあるんだろう。それから、この「男前豆腐」のネーミングは思い付きではなく、水切りアイディアから「水も滴るいいトーフ」ときて、”男前”に至ったとのこと。この辺は単純になるほど〜、と思った。
ザ・センチネル 陰謀の星条旗
キーファー・サザーランドがシークレットサービスという大統領護衛の捜査官役ってことで、嫌でもドラマ24を意識してしまう。
冒頭、大統領が狙撃される夢シーンから始まり、マイケル・ダグラスが目覚ましで起床。4時って早いなぁ。そこから筋トレを始め、ネクタイ姿で優雅に紅茶を飲みながら新聞に目を通す。うーん、あんな優雅な朝の過ごし方って。。。
で、お目当てのキーファーがやっと登場したと思ったら、何だか真面目な内勤エリート系って雰囲気。大統領暗殺の脅迫メッセージを分析したりしてた。情報分析官ってところだろうか。名前はブレキンリッジってちょい長め。
(「Oricon」データベースより)
141年間裏切り者を出すことのなかったシークレットサービスの内部に渦巻く陰謀を描いたサスペンス・アクション。出演はマイケル・ダグラス、キーファー・サザーランドほか。
そんなこんなで、開始10分程度で最初の殺人事件が発生。シークレットサービスの1人が撃たれた。そこから話が急展開。そんな緊急事態の中でマイケル・ダグラス扮するピートが大統領夫人と不倫状態。。。大統領夫人役はキム・ベイシンガーだったけど、結構老けた感じが。。。
それから、ピートとブレキンリッジ、二人は仲がいいのかと思ったら、何か険悪ムード。どうやら過去は親友同士だったのにピートがブレキンリッジの奥さんを寝取ったとかで絶交状態のようだ。んー、ピートは大統領夫人との不倫といい下半身が緩い役どころのようだ。
ピートは過去の経歴からシークレットサービスでも一目置かれる存在だったが、大統領夫人との不倫という負い目から、徐々に内通者と疑われる羽目に。自業自得なんだが、それだけで真犯人を逃すってのは高等調査機関としてどうかと思う。
その後、タレコミ屋との情報交換の場所となったショッピングモールで銃撃戦が始まり、時を同じくして大統領は乗ってなかったとはいえ大統領専用ヘリが撃墜され、事態は一気に24状態。ただし、24と違って臨場感、緊迫感が全くないが。
この辺から疑惑の逃亡者ピートと追跡者ブレキンリッジの追いかけっこが始まる。24の場合、追われるのはキーファーだけど、今回は逆の立場。あ、キーファーが銃を構えると完全にジャック・バウアーだ。きっちりスーツとネクタイ姿には違和感があるけど。(笑)
何とかピートに追いついたブレキンリッジだが、やっぱり昔の親友をどこかで信じている様子。なかなかいい奴だ。ジャックなら職務遂行のためには仲間ですら撃つだろう。そして、とうとうピートと大統領夫人の不倫関係をジャック、じゃなくてブレキンリッジが知ることになる。ここから二人のスーパータッグが始まる。うーむ、ブラック・レインのニック刑事と24のジャック、これってかなり強力なタッグだ。。。と、思ったけど、相変わらず銃撃戦はショボイ。。。(泣)
で、気づいたら何もかも終わってた。犯人もよく分からんが射殺された?らしい。結局、KGB(旧ソ連の諜報機関)の残党が絡んでたってことくらいしか犯行の背景が分からなかったが、そのまま一気に終わりに収束してしまった感じ。で、気づいたら音楽が流れ始め、納得いかないままエンドロール突入。なんだこりゃ、という感じ。
・ザ・センチネル 陰謀の星条旗@映画生活
ラッシュライフ
それぞれの人生を背負った複数の登場人物が複雑に絡み合う群像劇。仙台を舞台に5つのバラバラの物語が進行していく。
タイトルにもなっている”ラッシュ”という言葉は、英語ではrush、lush、rash、lashの4つあり、その意味の多様性をうまく使い、この作品のキーともなっているエッシャーの騙し絵をモチーフにした壮大な騙し絵的作品に仕上げている。パズル好きな理系の方にオススメかも。
まぁ、正直なところ最初はちょっと馴染めなかった。まず複数の物語が次々に切り替わるので必然的に登場人物が多くなる。しかも最初は同時進行かと思っていたそれぞれの物語が、実は時間的に前後していることが徐々に判明する。こうなるともう大混乱で久々に脳疲労を感じた。(「BOOK」データベースより)
泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場―。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。
この時間進行トリックをうまく使うことでごく当たり前のことが非現実的な出来事となり、読者をうまく騙している。
そして、この作品の肝は何といってもエッシャーの騙し絵。騙し絵ってある程度脳が慣れるまでは、少し騙されようとがんばる必要がある。騙されることをわざわざがんばるのもどうかと思うが、そうしないと騙し絵としては楽しめない。ただ、一度脳がそれに慣れてしまうと今度はその騙しを楽しめるようになる。それと同じような騙しがこの作品にもうまく組み込まれていて、騙しに気づくとなるほどー、と感心してしまう。黒澤の瞬間移動についての話がその騙しポイントなんだけど、まぁ人によって解釈がかなり違ってきそうだ。
それからバラバラ死体がくっついて生き返るみたいな都市伝説が組み込まれているが、これは作品全体を意識したものになっているのも面白かった。バラバラに進行していたストーリーが徐々にくっついて、そして豊潤な人生として生き返る、みたいな。これも勝手な解釈かもしれないが、自分はそう感じた。
アイデア自体は別に新しくないのかもしれないが、そのアイデアを徹底してブラッシュアップしているのはスゴイ。楽しむのには少し労力を必要とするが、それがエッシャーの騙し絵の醍醐味でもある以上、その苦労も含めてこの作品の良さなんだろう。
【単行本】
県庁の星
原作本チェック済み(→こちら)ですが、映画は映画でまた良かったと思う。いろいろ詰め込みすぎ感はあるんだけど、織田裕二と柴咲コウのテンポのいい会話が良かった。
(「MARC」データベースより)
小学校の時からずっと成績優秀、品行方正。役人根性全開の県庁のエリートが、田舎のスーパーにやって来た。手に汗握る、役人エンターテインメント! サラリーマンも身につまされる役人意識構造改革ストーリー。
「お役所仕事」って言葉があるけど、スーパーに派遣されるまでの野村はまさに「ザ・お役所仕事」って感じのエリート職員。特にあの前向きに検討するってのとか、書類のハンコをもらう順路などをマニュアル化してるあたり。まぁ、県庁の中ではこういう人が仕事ができる人って言われるんだろうけど。
二宮さんも最初は何かツンツンしてて、何もそこまで言わんでも。。。と思うところもあったけど、ツンデレ好きにはたまらん設定なのかもしれない。(笑)
原作よりも、挫折感を強くしてあるのでその後の感動も大きく感じられた。それから、原作にはない恋愛要素も加わっていたのも良かったし、県庁に戻ってからのその後のストーリーが追加されていたのも良いんじゃないかと。
でも、最後の知事の変貌ぶりにはちょっと引いてしまったかな。てっきり野村の理解者だと思ってたんだけど、実は一番えげつなかった。あれは次長に言いくるめられたんだとは思うけど。。。まぁ、スーパーと違って県庁を変えるのは相当大変で、それは野村も承知の上で、それでも本当に”前向き”にがんばってるのが良かった。
気になったのは最初のシーン。途中のシーンからの引用になってるんだけど、なんでああしたのか?意図が分からなかった。
・県庁の星@映画生活
美丘
読み始めてすぐ、タイトルが”ビキュウ”ではなく”ミオカ”と読み、それが女性の名前だということを知った。
そして、物語は今は亡き恋人の回想録という形でスタートするため、そのタイトルにもなった美丘という女性が若くして亡くなったことを知ることになる。
石田衣良作品は「池袋ウエストゲートパーク
(「MARC」データベースより)
残された命を見つめ、限りある生を全力で走り抜けた美丘。彼女が生きたことの証として最期を見届ける太一。奇跡のラストシーンに向かって魂を燃焼しつくした恋人たちを描く、号泣の物語。『野性時代』連載を単行本化。
美丘のきついストレートな性格は見ていて痛々しさすら感じた。何となく吉本ばななの「TUGUMI(つぐみ)
まぁ、彼女が死んでしまうことは予想できてたから、余計生き急いでる感じがするんだが、その理由は後々明らかになってくる。辛く哀しい絶望とともに。。。
構成的には、出会いの導入部から恋愛に至るまでのバランス感覚が見事。恋愛モードに入ったのも束の間、とうとう恐れていた死へのカウントダウンが始まってしまう。それでもその絶望に抗うでもなく、諦めるでもなく、ただ受け入れてひたすら生きようとする彼女の強さがよく描かれていた。
確かにストレートなハッピーエンドではないかもしれないが、太一と美丘が最期の一瞬まで愛情と信頼で強く結ばれていて、死をも乗り越えて永遠の幸せを手に入れたと考えれば、限られた条件下での最高の終わり方だったと思う。
それから最初は男女33の6人グループから始まったが、太一と美丘の恋愛が始まり、同時に美丘の真実が発覚した辺りから2人だけでの物語になる。恋愛のいざこざもあるが、この変化がストーリーに絶妙なコントラストを与えていて、絶望の中でも必死に生きようとする美丘を際立たせていたんじゃないかと思う。それだけにグループに真実を告白するシーンはとても重要で、涙無しでは読めなかった。
美丘の病気がクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)で、それがヒト硬膜移植による薬害感染なんだけど、そのことに対する社会への問題提起というかメッセージ性は感じられなかった。それよりも人の命は確かに永遠ではないが、ある意味で永遠でもある。そんな不思議なことを考えさせられる内容だった。
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